今回ご紹介するのは『ねぼすけスーザのおかいもの』の続編、そしてシリーズ2作品目であるこちら、『ねぼすけスーザとやぎのダリア』です。
『ねぼすけスーザとやぎのダリア』あらすじ
いつもねぼすけのスーザ、今日もマリアおばさんがフライパンを10回たたいてやっと目を覚ましました。となりのアンヘルさんのやぎに草を食べさせに行くと、アンヘルさんから、やぎのダリアに気をつけるように言われます。ダリアのお腹の中には赤ちゃんがいるのです。
たくさんのやぎを連れて草の生えた丘を目指しますが、ダリアの様子が変です。ついには立ち止まって動かなくなってしまいました。動かないダリアに水をやろうと川に急ぎます。ところがスーザが戻るとダリアの姿が見えません。
オリーブ畑にダリアの姿が見えたかと思い行ってみると、それはキンテロおじさん。今度はお城へ行く道に姿が見えたかと行ってみれば、それはルイサおばあさんでした。ダリアの鈴の音に聞こえたのはお城の風見の鈴でした。
がっかりしたスーザの目に、涙がこみあげてきます。その時、犬のホセがスーザを呼びに走ってやって来ました。後を追ってみると、そこには…!?
『ねぼすけスーザとやぎのダリア』
前作に登場したあるものが
前作『ねぼすけスーザのおかいもの』で、スーザがお金を貯めて買った「一番」素敵なもの。読んだ方はそれが何だかわかりますよね^^続編のこちらにも、ちゃーんと登場していますよ。ほら、あそこに…♪
読んでいる方も胸が苦しくなる展開に
お腹に赤ちゃんがいるダリアに気をつけるよう、アンヘルさんに言われて出かけるスーザ。ダリアを気遣い帽子をかぶせてやったり、エプロンをかけてやったり、今回もスーザの優しさが光ります。
それなのに、ちょっと目を離した隙にダリアがいなくなって、あちこち探しまわります。ダリアが見つからず涙がこみあげてくるスーザの気持ちを想像するだけで、読んでいる方も胸が詰まります。
大切な人から預かった、大切な大切なもの、いくら探しても見つからない時の気持ちを味わったことのある人もいるかもしれませんね。今回は前作とはまた違った意味で胸がきゅーっとなる展開です。
スペインの田舎の風景が綺麗すぎる
『ねぼすけスーザ』シリーズは、スペインの村や町が舞台となっています。スーザが行く先々に広がっているのどかな風景が素晴らしいんです。
作者の広野多珂子さんは、スペインで美術を学ばれた後児童文学の世界に入られたそうなので、その頃広野さんが目にしていた風景がこうして絵本となって、子どもたちやお母さんの元に届いているんですね。
おわりに
今回のスーザは、こちらまでハラハラしてしまう展開でしたが、最後はまたとびっきりのスーザスマイルが見られます。ダリアに優しく接するスーザを見ていると、なんだか心が洗われますよ。
スーザの次のお話はこちら。
※絵本の表紙、見開き写真は、福音館書店ご担当者様の許可を得て掲載しています。
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